有機野菜とは、種まきまたは植付け前2年以上の間、化学的に合成された肥料及び農薬を避けることを基本として、堆肥等による土づくりを行った畑や田んぼで生産された農作物で、国が認めた登録認定機関によって有機JAS認定を取得した物をいいます。
また無農薬野菜は、文字通り、栽培期間中に農薬を使わずに育てられた野菜のことです。しかし、あくまでも「栽培中」ということを見落としてはいけません。たとえば、昨年まで は農薬を散布して野菜を栽培していたとします。そうすると、土に農薬や化学肥料が残っていることもあります。それでも、今年農薬を使わなければ、それは 「無農薬」と呼ばれることになるからです。
無農薬栽培(むのうやくさいばい)は農薬を使わずに米や野菜などの植物を栽培する方法。無農薬農法ともいう。
日本で米作りが始まったのは縄文時代後期と言われており、これに対して農薬や化学肥料を本格的に使用しだしたのは戦後である。それ以前の農業はすべて無農薬栽培であった。しかしながら、病害虫の発生などで年によって収穫に大きな増減があり、飢饉の年には死活問題になりかねなかった。
1700年代には除虫菊の粉を使用した栽培法がヨーロッパなどで始まり、商品化もされる。1851年には、フランスのグリソンが石灰と硫黄を混ぜた石灰硫黄合剤に農薬としての効果があることを発見。1924年にはヘルマン・シュタウディンガーらによって除虫菊の主成分がピレトリンという化学物質であることが解明され、1932年には日本の武居三吉らによって、デリス根の有効成分がロテノンという化学物質であることも突き止められる。1930年代には日本の農業においても農薬が普及し始め、昭和初期には本格的に普及した。さらに1938年、ガイギー社のパウル・ヘルマン・ミュラーは、DDTに殺虫活性があることを発見、農業や防疫に応用された。ミュラーはこの功績により1948年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
その後、農業においては農薬を使用することで安定した収穫と除草などの手間の削減が期待できることから、化学肥料の使用とともに一般的になってゆく。しかし同時に、使用する者や収穫物を食する人体、周辺の環境に対して有害であることがあまねく知られるに至り、過度の農薬の使用や危険な農薬を使用した食品の流通などが社会問題化した。最近では残留農薬という言葉が広く使用されるようになった。
そのため、消費者心理の不安が台頭し、再び農薬を使わない栽培法が消費者に注目されるようになり、多くの者によってさまざまな方法で試みられるようになった。しかしながら、無農薬をうたいながら実際には農薬を使った野菜を販売することや、消費者の不安や無知に付け込み無農薬・減農薬を旗印として法外な価格で売りつける悪徳商法も見られる。また「減農薬」などをうたう場合の基準もかなり曖昧である。完全な無農薬での栽培はある種の野菜や米などでは非常に難しく、減農薬についても、例えばある農協のキャベツの「減農薬」の基準は、植え付けから収穫まで農薬を散布する回数が13回以下と決められているほどである。なお通常は、20回以上散布されている。これは、キャベツにヨトウムシなどの害虫が1匹でも混入していると消費者が買ってくれないという農家側の不安が根底にある。そのため、見栄えが最優先される事情が農薬の使用を後押ししている。キュウリは通常曲がっているのが普通[要出典]だが、まっすぐにするために農薬が使用されている。こうした消費者の知識が無いこともさまざまな農薬の使用を後押ししてきた。
このような状況を踏まえて、農林水産省の特別栽培農産物に係る表示ガイドラインでは無農薬や減農薬の語を用いず、その農産物が生産の原則に基づき、かつ生産された地域の慣行水準(その地域で慣行的に行われている節減対象農薬・化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が5割以下、化学肥料の窒素成分量が5割以下で栽培された農産物を特別栽培農産物(特別栽培○○)として一括し、農薬の不使用や節減については、「農薬:栽培期間中不使用」や「節減対象農薬:○○地域比○割減」などといったより明確な表示を用いることと定めている。
無農薬で植物を栽培するためには、まずしっかりした土作りが非常に重要である。連作障害を回避するためにも、毎年大量の有機肥料を施し、こまめに土の状態を管理しなければいけない。
以上のポイントに留意した栽培法を考える。
有機農業(ゆうきのうぎょう、Organic farming、Organic agriculture)とは、輪作、緑肥、堆肥、微生物疾病制御といった手法を利用して、土壌生産効率を維持し、病気を回避する、農業の方法である。有機農法、有機栽培、オーガニック農法などとも呼ばれる。
20世紀の農業は、人工的に化学合成された化学肥料や化学合成農薬などの化学物質を様々な目的で使用することを進めることでその生産力を大きく拡大させた。
日本では、1961年に農業基本法が制定され、化学肥料や化学合成農薬の使用、作業の機械化が大きく推進されてきた。これらは農地の単位面積あたりの収穫量の増大に効果があるので、小面積の農地しか持たない多くの農家にとって朗報であり、積極的に導入が進められた。
しかし、長年に渡って化学肥料ばかりを使い続けると、自然の生態系に悪影響があることが次第に解ってくる。土の中の菌類、バクテリアなどの生物は、本来は落ち葉や腐った木、糞尿などの有機物を分解して生きている。しかし、これらの有機肥料の代わりに無機質の化学肥料ばかりを大量に使用し続けると、有機物が不足しはじめ、土の中の微生物が減少する。やがて、無機質を好む嫌気性生物の細菌が土中に繁殖しやすくなる[要出典]。その結果、植物は病気にかかりやすくなり、対処のために農薬の使用を増やさざるをえなくなり、ますます環境を悪化させる…という悪循環に陥ってしまうようになった。
そのような反省から、提唱されたのが有機農業である。化学物質の利用をやめ、旧来のような天然の有機物や天然由来の無機物による肥料などを用いるなど、自然のしくみに逆らわない農業を目指している。農作物の収穫量よりも、土の中までをも含む生態系全体の健全性に重きを置いている。
一方、後述のように有機農業の単位面積当たりの収量が低いため、慣行農法と同様の収量を得るためにはより多くの農地を必要とする。農地自体が人為的なものであり、慣行農法によって高収量で農地を少なくする方がより生態系保護や環境保全に利するという観点も存在する。このように生態系保護や環境保全という観点からだけでも、有機農業に対する評価は多様である。
また、熟成が不十分な有機質肥料は、寄生虫汚染や病原微生物汚染の原因になる。そのため、十分に熟成させた堆肥を利用する必要がある。そのため、かつて、有機質肥料を用いず,化学肥料のみを用いて栽培した野菜を「清浄野菜」と称して尊重したこともあった。また、堆肥の熟成が不十分な場合、ガス障害や高いC/Nによる窒素飢餓が生じる恐れもある。
有機農業というアプローチは共通の到達点と実践を共有しているが、その手法は様々である。 合成化学肥料を使用しないかあるいは厳しく制限する。あるいは土壌を浸食や貧栄養化、物理的な崩壊から保護することや、生物多様性の保全(例えば、一品種を栽培するのではなく、多品種を栽培するなど)、家畜類を屋外で飼育すること(平飼い)が含まれる。これらの枠組みの中で、個々の農業者はそれぞれ自分自身の有機生産システムを発展させる。そういった個々の有機農業のあり方は気候や市況、地域的な農業の基準によって規定されている。
広義には、有機農業は無農薬または低農薬農法までを含む。農薬による薬害や公害も次第に明らかになり、70年代にもDDTなどの毒性の強い農薬が規制されてきた。これらの農薬には分解されにくいものがあり、環境や人体への蓄積も懸念される。また本来の生態系を破壊することで、新たな害虫の発生や天敵による害虫抑止力の喪失などの弊害を招くことも明らかとなった。この反省から、有機肥料とともに無農薬または低農薬農法を実践する農家がある。
一方、無農薬や低農薬農法を用いた結果、病害虫防除が不十分だと病害虫に抵抗するために植物自体が作る天然化学物質の方が残留農薬などよりも遙かに毒性が強いという報告が、突然変異原性の検出法エームズ試験の開発で有名なエームズ博士らによって出されている。
有機栽培は慣行栽培に比べ、統計的に単位面積あたりの収量が低い傾向がある。 現在の高度な栽培方法が導入される明治中期までの反収(1反=300坪=10 a辺り)は奈良律令制時代の100 kgからさほど伸びずせいぜい200 kg(1石3斗)程度。これが純粋な伝統的有機栽培での収量と思われる。
有機肥料の多くは農産廃棄物、畜産廃棄物、林産廃棄物などの産業廃棄物を熟成させたものであり、ゴミの減量や物質循環という意味でも有意義である。 原種から食感の向上、収量の増大などを目的として人の手による改良を経た作物は、原種とは異なる性質を備える。異なる性質の中には肥料への要求成分・分量の変化も含まれる。
有機肥料は窒素に関しては緩効性肥料として作用するため、肥効を短時間でコントロールするような栽培法には速効性窒素肥料に比べて不向きであり、栽培にも習熟が必要とされる。さらに、窒素肥料という観点からしても、温度や水分含量によって微生物による有機肥料の分解速度が異なり、制御が困難である。
科学用語としての有機は、有機化合物のことを示す。これは当初主流だった化学肥料が無機質だったことと対照的に、伝統的な肥料の多くが有機質だったことから、象徴的に有機という単語が用いられた。したがって有機農業を省略して有機としてしまうと、科学的な意味が通じなくなる場合があるので注意が必要である。例:「有機農業で栽培された食品」を「有機食品」と略すと意味が通じない。食品の大半は有機質であることから。
2000年1月、日本農林規格(JAS規格)に、コーデックス委員会に準拠した「有機JAS」の規格ができた。 認証されるのは、遺伝子組み換えされておらず、基本的に化学合成された農薬や肥料を避けられた食品である。ただし、緊急の際に特定農薬や、許可された天然に存在する物質に由来する農薬が使用されることがある。その他、平成21年8月27日の改正により、遺伝子組み換え作物に由来する堆肥の使用は当分の間、許可されることとなった(「有機JAS規格」の小節において後述)。
2002年12月、農薬取締法に特定農薬指定制度ができた。特定農薬は、安全性の明らかなものと定義されている。通称「特定防除資材」と呼ばれる。しかし、定義が安全性の明らかなものとされているのに農薬という呼称をつけるのはどうかとの批判がある。
2006年12月、「有機農業の推進に関する法律」が制定・施行された。 またそれを受け、2007年4月には「有機農業の推進に関する基本的な方針」が公表された。 これにより、日本の法制度のもとでは規制の対象としか見られてこなかった有機農業が、法律によって推進されることとなった。